バルザック研究の第一人者であり、フランス文学科で長らく教鞭をとられ、8年前に天寿を全うされました故石井晴一先生(青山学院大学名誉教授)翻訳の『糸繰り女』(オノレ・ド・バルザック著)が、この程奥様の石井滋子さんの手によって出版のはこびとなりました。美しい挿絵は美術に造詣の深い奥様の作品で、没後8年を経て共著という形で上梓されたことに大変心を打たれます。
バルザックにしては珍しい「お伽噺」の本書は、魔女のような糸繰り名人の老婆と酷い仕打ちを受ける息子が主人公。その彼が王女様と結婚できたのは?
石井先生の「本はね、読まれなければ意味がないんだ」(奥様あとがきより引用させていただきました。)の言葉を受け継がれた出版までの道程に大いなる敬意を表し、多くの皆さまに是非お読みいただきたい1冊です。